今年9月

(熊谷冬樹)



9月5日、誕生日。

今までの誕生日は誕生日らしく過ごしたことはない。だからたまに友達の誕生日を一緒に過ごすと羨ましくなってくる。一歳の時…まだ父親が生きていた時だけだろう。ただ一歳だから記憶はない。全て母親から見せてもらったアルバムでわかったことだ。

姉ちゃんの早紀もそうだ。早くに親は離婚して父親が父親だから、ちゃんとした誕生日っていうものを送っていない。




前にそんな話を由衣や直哉の前でした。1年の時か。由衣も直哉も両親がいて兄弟みんな元気で。


高2の9月5日、この日は部活もなく家でのんびりしていた時に、由衣から電話が来た。

「今時間あったりする?」
「時間あったりするけど…どした?」
「ちょっとさ、私の家きて!」
「あ、うん…」


そう言われて電話はきれた。
とりあえず行ってみることにした。


由衣の家につき、由衣に部屋まで案内され、部屋のドアを開けたら。


「「「「「Happy Birthday!!冬樹!」」」」」

そこにいたのは渉、一真、浩紀、直哉、谷川さんだった。由衣も入れた6人が一斉にクラッカーを鳴らした。



「冬樹さ、今までちゃんと誕生日迎えてないって言ってたじゃん。だからみんな呼んでうちでパーティー開くことにしたの」

そう、由衣は言った。



感動して涙が止まらなかった。
本当にいい彼女と友達を持ったなと改めて実感した。

    スポンサードリンク


    この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
    コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
    また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。